●私から見れば、四十歳の人間は若い人だし、三十歳の男女は、
まだ生きることの意味がよく分かっていない未成熟の人間に見える。
二十台の男女は子供の幼な顔から抜け出ていないのだ。
─ 伊藤 整 ─
(『変容』)
【ホーライの蛇足】
伊藤 整(いとう せい、1905年(明治38年)1月16日 - 1969年(昭和44年)11月15日)は、日本の小説家、詩人、文芸評論家、翻訳家。
20世紀日本文学の重要な小説家・文芸評論家の一人。
昭和初期にジェイムズ・ジョイスらの影響を受けて「新心理主義」を提言。
『ユリシーズ』を翻訳する。北海道時代には詩作を中心に行い処女詩集『雪明りの路』で注目されるものの、上京後は詩作を離れて小説・評論に重心を移す。
戦前・戦中は詩壇・文壇でのみ知られた存在だったが、戦後は旺盛な著作活動に加え、ベストセラーや裁判の影響もあり、もっとも著名な評論家の一人となった。
私小説的文学の理論化をめざすとともに自身も創作を行った。
自伝的小説として『鳴海仙吉』『若い詩人の肖像』などがある。
評論では『日本文壇史』『小説の方法』「近代日本人の発想の諸形式」「近代日本における『愛』の虚偽」などがある。
『氾濫』『変容』『発掘』は、夏目漱石の衣鉢を継ぐ近代小説三部作である。
また評論家としては、谷崎潤一郎の支持者だった。
伊藤 整から見たら、僕はいっぱしの大人、ということだ。
どこが?