幾層倍むつかしいという場合が何事によらずしばしばある。
─ 寺田 寅彦 ─
(『自由画像』)
【ホーライの蛇足】
寺田 寅彦(1878年〜1935年)は物理学者であると同時に随筆家としても有名。
「天災は忘れた頃にやってくる」は寅彦の言葉といわれる。
夏目漱石の元に集う弟子たちの中でも最古参に位置し、科学や西洋音楽など寅彦が得意とする分野では漱石が教えを請うこともあって、弟子ではなく対等の友人として扱われていた。
仕事でも「最後のつめ」って大事だよね。
その「最後のつめ」を間違ったがために、それまでの全ての労力が水の泡に帰することもあるぐらいだ。
治験で言うと、SDV等を実施して、治験のデータの信頼性を80%まで持って行くのは、まぁ、できるけれど、そこからさきの20%をつめて、100%の信頼性を求めようとすると無限大のエネルギーが必要だ。
だから、僕のアドバイスとしては「8割主義で行こう」というもの。
製薬業界は1秒の遅れが数十万円の損失に繋がる。
だから、スピードは命だ。
そんな時に100%の完璧主義者というのは「邪魔」なだけだ。
ちなみにね、アメリカ人が「うむ。これはよくやったな」と思うのは100%のうち、何%できたら、「うまくいった」と思うと思う?
実はアメリカ人は100のうち30もできれば「よくなった」と思う。
そういう人たちと戦っていることを忘れないようにね。
真面目な日本人はすぐに100%求めるからね。
そりゃ、スピードではアメリカに負けるよ。